「さ、お夕飯にしよ」
美和は、思い出したようにそう言うと台所に立った。美和は何かに付け穏やかだが、同時に少しトロいところもあって、よく父に叱られていた。でも、僕にとっては彼女のそんなところが可愛らしく思えるのだった。
 僕は家に帰ってきて、こうして彼女の姿を見ている時間が好きだった。彼女が、母らしく僕らの為に夕食を作る姿を見ていると学校であった嫌なことなんて全部忘れることが出来た。だから僕は家に帰ってからしばらくの時間、居間のテーブルの前に座り台所で動き回る彼女をずっと見詰めているのが常だった。
「うん!もう!」
由紀が憤りながら立ち上がった。何故か由紀が腹を立てるのも常だった。僕が母に、美和に見蕩れているといつも機嫌が悪くなった。それは、この二人がこの家に来た日から繰り返してきたことのように思う。
 由紀が初めてこの家に来た時、真っ黒な顔をしていた。頬だけを霜焼けで真っ赤に腫らし、ギラギラした目で僕を睨み付けていたものだ。僕は彼女をてっきり男の子だと思い込んでしまったくらいだった。随分と怖い奴が兄弟になりものだと、内心怯えていたくらいだ。だから女の子だと気が付いた時、仰天したものだ。美和が僕の頭を撫で「たくちゃん、よろしくね」と言っている間中、由紀は僕を睨み付けていたのだ。
 あの時から由紀はまったく変わっていない。今でも僕が母に見蕩れていると、不機嫌になるのだ。きっと僕に母を取られてしまうような気がするのだろう、と思う。

 母が台所から料理を運び始めると、僕も由紀もそれ手伝うために台所へ向かった。由紀がご飯を盛り、僕が皿や箸を持って行く、というのが常だった。
 それから僕らは三人で夕食を囲んだ。父の稼ぎが良くないのと、やはり少しトロい母には大したパート仕事は回って来ないらしい。だから夕食はとても豪華とは言えなかった。それでも僕にとって母の手料理はこの世で最高のご馳走に感じていた。それは由紀も同じらしい。僕ら三人の食事はいつも楽しかったし、笑いが絶えなかった。昼間学校で起きた些細な出来事を話しただけで、由紀も僕もお腹がよじれるほど笑った。それを聞きながら母も声を上げて笑った。母の笑い方はまるで子供みたいに屈託無く笑った。僕はそんな母の笑い顔がみたくて、いつまでも話し続けたものだ。
 今日の話題は勿論、天狗の話だった。由紀が一目で髭おじと見破ったことを自慢げに話した。ついでに僕が腰を抜かして草むらで震えていたことも、僕の間抜けな顔の物真似までして話した。
「そんなひどい顔してねえよう!」
僕は抗議したが、怒れば怒るほど由紀は面白がった。
そんな風にして僕らは夕食を取り、それから風呂に入るのが日課だった。


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