2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

そんなことを考えているうちに、妻はせっせと私の荷物をまとめ始めていた。離婚して、今日別居する私の荷物をである。つくづく女という生き物は強いものだと思う。様々な自分の思いを帳消しにしてまでも、今自分が為すべき事に没頭できるのだ。彼女達はそれ…

ずっと自分はスタンダードな社会人だと思ってきたのだ。にも関わらずいつの間にか最低限の生活すらままならない自分がいた。会社が年功序列をやめ能力主義にした途端、私の給料は大幅に下がり始めたのだ。会社は私の給料を初任給そこそこまで下げた。もっと…

◇帰郷◇ どうやら眠っていたらしい。夢を見ていたのだ。しかし、それは夢というより記憶だった。遠い昔の記憶、すっかり忘れていた子供の頃の出来事が今頃思い出されたのだ。もっとも、私がこれから向うのは故郷である。高校を卒業して以来、一度も帰ったこと…

僕は布団に入ってから、今日一日のことを思い出してみた。なんだか変な一日だった。学校で淳司が新しいゲームを買ったって自慢してて、それで授業が終わったらみんなで淳司の家に行く約束をした。その為には由紀から逃れなければならない。しかし結局、掴ま…

僕は身体をすっかり洗い終わると湯船に浸かり、じっと母の白い肌を見詰めていた。それは湯気に当たるとみるみる薄いピンク色に色づくのだ。僕はその変化を見るのが大好きになっていた。それを見るのはゲームより楽しくなっていた。僕はその肌にこっそりと見…

以来、僕ら三人はずっと一緒に風呂に入った。この家の風呂が広かったこともある。家は小さいのに、風呂だけ別の場所から持ってきたような感じだった。だから僕ら三人で一緒に入っても全然狭くは無い。もっともそんなことよりもっと大きな原因があった。それ…