僕らは一週間前に髭おじから
「満月が昇る頃、鳥居の下で願えば叶う」
などといういい加減な話を聞き、試しにここへ来たのだ。そして、月が昇るのを待って――実際は、僕らに気付かないように月は昇っていたのだが――僕らは鳥居の下で願いを掛けた。
父が居なくなればいい
母とマサ兄と四人で暮らしたい
それが僕の願いだった。つまり父を追い出して代わりにマサ兄が父になるのだ。
『なるほど、もしかしたら願いが通じたのかもしれない』
由紀に言われて僕もそう思った。と、いうことは僕は母と離れ離れにはならないで済むのだろうか。
 僕がそう言うと由紀は眉を顰め、首を左右に振った。由紀は眉に悲しそうな深い皺を作ったんだ。
「それじゃ、お父さんが可愛そう。一人ぼっちになっちゃうもの」
由紀は何事があっても父の味方をした。父が母を苛めていても、父を決して悪く言わなかった。僕にはそれがよく理解できなかった。
「でもさ、おれ。母ちゃんと一緒の方がいい。それにマサ兄も好きだし」
由紀は小さく「そうね」と言い、俯いた。
 あの願いが、全てを変えてしまったのだ、と由紀は言ったのだ。それから由紀は自分の言葉の意味に気付き
「たくみを責めてる訳じゃないよ」
と釈明した。僕もそれは分かっていた。分かっていたけれど由紀の話を聞いているうち、不幸の原因を作ったのは僕だったのじゃないか、などと思い始めていた。僕が昨日、慌てて余計な願いをしなければ、全ては今まで通りだったのかもしれない。僕は取り返しの付かないことをしてしまったのかもしれない。取り返しの付かないことは、ちょっとした不注意から始まるものだ。クラスで飼っていた金魚の餌が無くなってしまった時、変わりにパンの耳を千切ってあげた。金魚は夢中になってついばんだ。僕はそれが面白くて、どんどんあげた。誰かが「あんまりあげ過ぎるとお腹が破裂して死んじゃうよ」と注意してくれたのに、僕はそれを関係無い話のように聞いていた。結果、金魚は翌朝死んでいた。こんな話は数え上げれば切りが無い。同じような失敗を僕は何度も繰り返してきた筈だった。それはいつも、誰かが口に出してくれた注意を僕が軽んじるところから始まっているのだ。今度僕が軽んじた注意といえば何だろうと僕は考えてみたが、よく分からなかった。
「もう一度、願いを叶えて貰おうよ」
由紀が言った。僕は意味が分からず由紀の顔を見ていた。
「ね、元に戻して下さいって、何にも無かったことにして下さいって、お願いしてみようよ」
由紀の顔が輝いた。昨日から、いつもの由紀じゃなかった。雲が掛かったように沈んだ表情だった。それが元の由紀に戻った気がした。
僕は「出来るかなあ?」と小さく答えた。内心、そんなことで解決するわけないよ、って思う気持ちが湧いてきた。でも僕はそれを否定し、由紀の思うとおりにしようと思ったんだ。
「出来るわよ。元通りにしてって言えば。あの願いが無ければ絶対、こんなことにならなかったよ。マサ兄の悩みだって美穂さんに嫌われたとか、そんな簡単なことになるかもしれない!」
知らないうちに由紀は大声で喋っていた。由紀のこんな大声を聞いたのは昨夜の事件以来初めてだった。由紀が元の元気な由紀に戻るのであれば僕は由紀の望みどおりやってみようと思った。

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