※テレビ版の「のだめカンタービレ」の続きを勝手に書いてみました。

(所謂二次小説で、本物とは一切関係ありません)



ガーガガガガーガガガガ

「Oh!しんいーち!やっと出てきましたね。モーニングも済ませてきたようで、とってもすっきりしてまーすね」

「むきゅー!先輩!私の時はダメなのに多賀谷彩子ならOKなのですか?」

「むむむ伸一め。なかなかやりおるわい。ワールドクラスの美人をものにするとは」

「どーせ私は田舎の芋娘たいね!」

「ま、そんなに自分を卑下しなーいで!成り行き上仕方ありませーん。あれでやらなきゃ男のハージ!スエゼンクワヌーハ男のハージ、っていうでしょ?」

「ん?オリバー?おい!オリバー、何やってる?そんなとこにいると見付かるぞ!」

「ああ!オリバー撮影に夢中になっちゃって、丸見え!」

「オリバー!おえ!早く!早く逃げなさーい!このマヌッケ!」

ガーガガガガーガガガガ


ん?と伸一は奇妙な光景を見た。ようやく非常階段を降り終わり地上に辿り付き、道路を歩き始めた時だ。街路樹と見まがうほどの大男が、小ぶりなビデオカメラで熱心に撮影していた。いや、街路樹に身を寄せ、身を隠しているようにも見えるが、身体が巨大過ぎて隠れていないだけなのかもしれない。こんな早朝から何を撮影しているのか?それもこんな大男が。もっとも大男が朝からビデオ撮影してはいけないという理屈はないが、なんだかミスマッチな光景ではあるし、なによりその手の平にすっぽり収まるような小型カメラが可愛らし過ぎた。しかし、更に不思議なのはどう見てもカメラは自分の方を向いている、と伸一は思った。敢えて右に避けてみると右に、左に避けてみると左に触れた。明らかに自分を撮影していた。

「おい!オリバー!なに写してるんだ!」

「ええ!なんでバレタノ!?街路樹に隠れてたのに!」

「馬鹿野郎!おまえの図体の方がどう見てもデカイだろ。バレバレだ!」

伸一はオリバーを取り押さえると、オリバーが背中にアンテナを担いでいるのを見付けた。

「おい!どこへ送ってたんだ!?貴様!おれのことを撮影してたんだな!そしてこの通信機でライブで映像を送ってた。そうだろ?誰に頼まれた!?」

と言ってから真一はすぐに悟った。誰に頼まれたってそんなの決まってるじゃないか。あのジジイ。ちょっと待てよ?あのジジイは今、親父と一緒にいる筈。そしてのだめとも。くそ!そういうことか。真一はオリバーからビデオカメラを奪い取ると、レンズに向かって叫んだ。