※テレビ版の「のだめカンタービレ」の続きを勝手に書いてみました。

(所謂二次小説で、本物とは一切関係ありません)


「やい!ジジイ!こんなセコイことしやがって!ったく親父も一緒になって息子のプライバシーを侵害して何しようってんだ!?」

それからもう一度レンズに向き直ると

「おい!のだめ。見てるんだろ!これを。言い訳なんてしないけど、たしかに多賀谷彩子の部屋で一晩過ごしたけど、何もないから。本当に何も無いから。それはおまえが一番良く分かってるだろ」

ガーガガガガーガガガガ

という通信機器特有の雑音の向こうから真一の声がはっきりと聞こえてきた。一方的にオリバーがビデオ撮影したライブ映像を送ってくる為の装置だから真一からこちらは見えないし、こちらの声も聞こえないのは分かっているけれど、めぐみは真一の言葉に大きく頷いた。

「大丈夫、のだめはいつだって先輩を信じてます」

真一が映し出された大型液晶テレビに向かって微笑んだ。


真一は更にレンズに向かって言い放った。

「やいシュトレーゼマン!親父!オレはあんたたちに宣戦布告する!何年、何十年かかってもあんたたちを越えて、のだめを取り返してやる!、、、あ、いや、何年、何十年掛かることを死ぬ気で頑張って今年中に、いや来月、ああ、今月くらいに取り返してやるからな!あんたたちみたいな人格の低いジジイどもに負けて堪るか!」


大型液晶テレビの前でシュトレーゼマンは打ち震えていた。

「チンカクが低ーい、だと!?許しませーん!師匠をここまで侮辱するなんて!おまえなんてはもーん!」

シュトレーゼマンは素早い動作で靴を脱ぐと大型液晶テレビに向かって投げ付けた。靴はテレビの角に当たり、テレビは後ろにひっくり返った。

「おいおい!なにやってんだ!壊れちまうだろ!いっくら日本製だからって何やっても壊れない訳じゃないんだぞ!」

と怒鳴った後も雅之は、ったく!高かったんだからなこいつは!とぶつぶつ言っていたが、シュトレーゼマンは意に介さず、ひっくり返ったテレビに尚も映し出された真一の顔を苦々しく睨み付けながら魔王のように呟いた。

「スエゼンクワヌハオトコノハージのくせしやがって!破門だけでは許しませーん。憶えてらっしゃ、らっしゃーい!」