ドログバが骨折。
サッカーではよくあることだからトゥーリオを責めることはできない。
(監督のエリクソンもそう言っている)
でも、今回大会の主役の一人がこういう形で去るのは本当に残念。
前回ドイツ大会、初戦のアルゼンチン戦の思い出すよ。
百戦錬磨のアルゼンチン守備陣5人にペナルティエリア内で取り囲まれ、転倒しながらも立ち上がり、強引にシュートコースを作るとゴールに突き刺した。
その様は、まさに不屈のエレファンツ。狩人に幾重にも縄を掛けられ引きずり倒され殺戮される命の際に、再び立ち上がり人間たちを蹴散らす様を見るようだったよ。
しかし、まだ経験の浅いチームは予選で敗退した。敗退が決まった試合、絶望からピッチに倒れこむチームメートに「これは終わりではない。始まりなんだ」と一人一人手を差し伸べて立ち上がらせたとという。
この時ドログバは26歳だったから、普通に考えると彼にとってのW杯はあれが最後だった筈だ。
それから4年、彼は再び不屈の闘志を持って戻ってきた(戻ってくる筈だった)。それも、更にパワーアップして。

彼の努力に神が幸運をもたらした(筈だった)。
3月に急遽、監督が辞任。新しい監督に名将エリクソンが就いたのだ。エリクソンは前回イングランドの監督をしてたからドログバよく知っている。
そして、昨日の試合を見て誰もが驚いたろう。
アフリカンサッカーを体現するような圧倒的なフィジカルを全面に押し出していた筈のコートジボワールが、まるで欧州の一流国のような洗練されたサッカーに様変わりしていた。
ボール回し戦術レベルの高さはオランダやスペインと見まがうほどだった。あの強気なトゥーリオが「これまで対戦したチームとレベルが違う」と驚きを隠せないでいた。
今大会、もっとも注目される一人がイングランドを率いるカペッロだ。常に優勝候補に数えられながら大した成績を収められないイングランドを、常勝を約束する名将が率いるとどうなるか?
しかし、カペッロの前任としてイングランドを率い、結果を出せなかったエリクソンがアフリカのチームを急ごしらえし、イングランド以上の高いレベルのサッカーを体言している。時間だけ見れば「急ごしらえ」だったかもしれないが、この4年弱、エリクソンの中では忸怩たる思いとともに、再出発への渇望に満ち溢れていたのだろう。だから我々が見た2ヶ月はエリクソンにとっては40年くらいの重みがあったのかもしれない。
ドログバがいれば・・・・」
今更、望んではいけないことだけど、エリクソンがこの2ヶ月で作り上げたチーム・エレファンツは間違いなく優勝候補だ。

それでもコートジボワールの健闘を心からお祈り申し上げます。